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魅惑的なインドネシアの布~活用編~  by  A.K.I

  • 4月26日(水)- 2017年

魅惑的なインドネシアの布~活用編~
by A.K.I



 前回、魅惑的なインドネシアの布のご紹介において、布は吟味してから購入することをお勧めしますと書きはしたのですが、いざ素敵な布が目に入ってしまうとその強い魔力に負けてしまい、ふと気づくと、実は手元にすでにいろいろな布が山積みになっているなどという事態にはなっていませんか?何故か買ってしまうんですよね、布。そして買った布は、素敵に活用されている方もたくさんいらっしゃるとは思うのですが、クローゼットの奥にきれいに畳んだまま眠っていてという話もよく耳にします。時々広げて眺めて楽しむというのも、それはそれで一つの楽しみ方ではありますが、せっかく気に入って購入した布、いつでも身近に愛でることができるよう、生活の中の彩に活用してみませんか?


1.サイズいろいろ布の種類



 困ったことに、布を買ってしまう時には、その瞬間の直感と衝動で、後先考えずに心に響いた柄と色合いを判断基準に飛びついて買ってしまうことが多いのですが(あくまで私の場合ですが)、まずはそもそも、一言に”布”と言ってもいろいろなサイズ・形状があります。たいていは折りたたんで置かれていることもあり一見わかりづらいですが、用途等によって呼び方や種類が複数あります。バティックにおいては大きく基本的な下記3種類は知っておきたい分類です。

カイン・パンジャン(Kain Panjang) 
 日本語にすると”長い布”。そのまま、大きな一枚布です。
 幅:約100~110cm / 長さ:約240~270cm
 腰に巻き付けて着用する(主に正装)。

サルン(Sarung)
 両サイドを縫い合わせて筒状にする前提で作られた布です(柄の配置もカイン・パンジャンとは異なる)。
 *既に筒状に縫われた形で売られているのもよく目にします。
   幅:約100~110cm / 長さ:約180~230cm(カイン・パンジャンよりやや短い)
   筒の中に入るような形で巻き留め腰衣として着用(簡易的) 。
 
スレンダン(Selendang)
 幅の細めの布で、カイン・パンジャンやサルンと同じ生地でセットになっているものもあります。
   幅:約30~50cm / 長さ:約170~200cm
 正装の際に肩から掛ける。帯的に腰に着用するエリアも。

 その他、頭に巻くための布や、赤ん坊を抱えるための布などもあります。少なくとも、事前に用途を想定している場合には、買って帰ったものの長さが足りないということのないように、大きなバティックの一枚布で、柄の配置などからの判断が難しい場合には、それがカイン・パンジャンなのかサルンなのか、もしくは布のサイズを購入前にお店の人に尋ねてみると安心です。


2.腰衣として布をまとう



 カイン・パンジャンやサルンといった布は、基本的には着用することを前提に作られているので、そのまま身にまとうのがまず第一の使用方法です。日本人は着物や浴衣の文化があるので、布を巻いて着るということに意外と違和感を持たずにまとえると感じます。総柄ではなく柄に位置があるものは、柄がうまく出るように気を付けて巻くという以外は、襟合わせなどもなく腰下だけなので、着物よりもよっぽど簡単です。巻き方もひだを作ったり、サイドで結んだりセンターで結んだりと自由度が高く、巻き方のバリエーションを紹介する書籍もよく見かけます。
 巻いた布は、スタゲン(stagen)と呼ばれる帯的なもので押さえて、それが隠れるくらいの裾丈の長めのブラウス(クバヤなど)を着たり、カイン・パンジャンの結びをよりしっかり固定したり、結び目を見せる巻き方をしたい場合には、布両端を穴から引き出し固定する下記写真のようなバックル的なものが売られています。巻き方がよくわからない場合には、布を買うのに合わせて、巻き方を知りたいと伝えれば、たいがい親切に実演してくれます。複数パターン教えてくれることもあり、目から鱗なパターンもあったりで興味深いです。




3.防寒着として布を羽織る



 この赤道下の国で防寒着?と思われるかもしれませんが、インドネシアは山脈の連なる島でもあるので、寒くすらある高山に住む民族は、筒状のサルンをうまく頭からかぶったり、一枚布をマントのように肩で結んで防寒用として活用していたりもします。写真は、明け方は気温10℃前後となる、標高2,000mを超える東ジャワ州の有名な観光地ブロモ山での一枚です。日が昇って暖かくなってくると、うまくその布をたたんでたすき掛けにするなど温度調整にもってこいのようです。
 みなさまもご旅行の際には、訪れるエリアによっては万が一の寒さ対策に、大きな布を一枚荷物に入れておくと、それほどかさばるものではありませんし、重宝するかもしれません。


4.洋服に仕立てる



 現在もインドネシアでは、男女問わず布を腰にまとった人々をどこででも目にはしますが、ジャカルタのような都会では洋服姿が主流です。しかしそれら洋服も、素敵な柄のバティック(手描きではないバティック柄プリントも含め)など伝統布で仕立てられたものが多く見られ大変華やかです。既製品ももちろん売られていますが、個人的感想からすると、日本人の体形に合わないものが多いというのか、日本人好みなシルエットとは少々異なると感じるものが多いように思います。そこで、気に入った布を仕立て屋さんに持ち込んで、好みのものを作ってしまうという手があります。
 注文には多少のインドネシア語は必要ですが、最も間違いないのが、気に入っている形の洋服を見本として提示し、これと同じ形に作ってほしいという注文の仕方です。
 一枚の布から、うまく胸元や背中に柄が来るように、また柄のつながりや、襟元や袖口にモチーフの切りかえしがくるようになど、その布の使い方も見事です。実のところ個人的には、一枚の布そのものでも芸術品と言っても良いようなバティックの布に、はさみを入れるということがどうにも気が進まなくはあるのですが。


5.小物に仕立てる



 布にいったんはさみを入れてしまったとなれば、余り布などで、さらに小物を作るのも素敵です。ブックカバー、手提げ、クッションカバー、ワインボトルケースなど、手先が器用な方はご自身でもさっとアイデア次第で世界にたった一つの素敵な小物をつくりあげられることでしょうし、これまた仕立て職人に頼る手もあります。
 
 洋服でも小物でも、例えば、ジャカルタで布市場として有名なPasar Mayestikの最上階エリアにはミシンをずらりと並べた店舗がぎっしりひしめいています。もちろん皆手先が器用な職人さんではありますが、店舗によって紳士物シャツが得意、小物が得意など特徴があるので、ざっと見回りつつ、吊り下げられているサンプルの感じや職人さんの仕事っぷりをまず見てみるのがよいかもしれません。そしてこれまた、注文時には希望の図面を書いて持っていくのも良いですが、見本となるものを持参するというのがお勧めです。


6.そのまま広げてアート作品として



 着る以外の活用法としては、言うまでもなく最も簡単なのはそのまま使うことですね。広げればOKな寝室のベッドカバーにしたり、リビングルームのソファーカバーにしたり、テーブルクロスにするなど、大きな布を柄もそのまま楽しめます。テーブルにかけて汚れるのが心配な場合には、テーブルトップにガラス板を用意してその下に挟むのがおすすめです。テーブルのセンターに飾り布としてスレンダンが敷かれているのもなんともおしゃれです。
 また、そのまま壁に吊るすのも素敵なアートとして楽しめます。壁に掛けられるフックなどの取り付けが必要にはなってしまいますが、布を飾るための装飾の施された木製のハンガー的なツールもちゃんと売られています。壁に掛けられない場合には、少々大きくはなってしまいますが、衣文掛け的な床に立てるタイプの布掛けも目にします。

 多くの場合、インドネシアでの住まいの方が広々していて、日本に帰ったとたん飾ることのできる壁のスペースが不足してしまうなどという話もよく聞くので、帰国後も飾りたいという意向であれば、スレンダンくらいの幅のものがよいかもしれません。今だけということで、大きな布一面に描かれたモチーフを存分に楽しむというのが醍醐味ともいえます。


6.額縁に入れる



 狭いスーペースに飾るアイデアとしては額に入れてしまうというのもあります。布はカットしてしまわなければなりませんが、年代物の布などで穴があいてしまったりしたものを、状態の良いところだけカットして飾るというのは、アンティーク感も出てとても趣があります。布そのままでひらひらした感じともまた異なり、額装にもこだわってみたり絵画的に楽しめ、素敵なインテリアです。


<まとめ>
 布が売られているスペースに行くと、積み上げられた布の山にまず圧倒されます。呉服屋的にゴザの敷かれたスペースになんだか親近感を覚えたりもするのですが、一緒になって座り込んで、折りたたまれた布をあれこれ広げてもらって選ぶというのはなかなか根気のいる作業です。ですので、布を買うと決めたら、その日はどっぷり布に浸る覚悟で出向いてください。大きな布は全体の柄を見ないことにはわからりませんが、気になったものは、売り手も嫌な顔もせず、当然のことのように次々広げて見せてくれます。

 なお、入手された布は、特に身に着けようという場合には、使用前にまず洗濯されることをお勧めします。特に織りの布イカットは、手織りのものであれば織られるのは大概屋外でほこりっぽく、仕上がり後の保管も意外と大雑把です。また、本当に天然染料で染めているものは独特の匂いがありますので、それが天然の良さでもありつつ、心地よい香りとは少々言い難くもあるので、匂いを落ち着かせる為にもまずは。
 お手入れは、現地の人々はきっと水洗いなのだと思うのですが、気に入っている布は色落ちや傷みが心配な場合はクリーニングに出すのがよさそうです。町中のクリーニング店で、”スレンダン””ソンケット”など布の種類ごとに料金表にも分類して記載されているのが、布文化が息づくインドネシアならではだなと実感します。直射日光は色あせや焼けの原因になるので避けた方がよいでしょう。
 
 ちょうど開催中のINACRAFTは、布だけでなくその周辺小物を探すのにも、もってこいのイベントです。それ以外にも布関係だけで見ると年間通してかなりの頻度で展示即売会的イベントが開催されています。是非、インドネシアならではの素敵な布をさまざまに楽しんでみてください。
 
 

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