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ジャカルタ・トピックス_Desember2016   by  A.K.I

  • 12月5日(月)- 2016年

ジャカルタ・トピックス_Desember2016
by A.K.I



 日本では師走と言われる12月。この時期も気候が変るわけでもなく、何のせわしさも空気感の変化もないジャカルタですが、なんとなくクリスマスの飾り付けが見られるようになってきてようやく、12月であることに気付かされる今日この頃。そんな常夏のジャカルタよりホットな情報をお届けすべく、最近タイムリーに盛り上がっている出来事や、身の回りで実際に感じられた変化や気づきをまとめました。ちょっぴりジャカルタの”今”を感じてみてください。


1.ジャカルタでの大規模デモとその後



 世界的には、トランプ氏がアメリカ大統領にというのが政治的ホットな話題ではないかと思われますが、インドネシアでは、来年2月15日に控えたジャカルタ特別州知事選での再選を狙うアホック氏が9月末に行なったスピーチで述べた文言に対し、イスラム教の侮辱にあたるとの反発の声があがり、それを発端に複数回繰り広げられている大規模抗議デモが関心を集めています。

 正直に申し上げますと、このデモについて私自身まだうまく言葉で説明することに難しさを感じています。建国五原則(パンチャシラ)の1項目に「唯一神の信仰」を掲げ、国民は必ずなんらかの宗教の信仰が義務付けられ、政府省庁の中に宗教省といった、我々日本人にはなじみのない機関が存在するインドネシア。そのような国において、宗教の冒とくということが、どれほど一大事なのかということをデモ参加者の数から実感している、そんな段階です。各地で本件に関わる小規模なデモもたくさん行われているようですが、特に事前の注意喚起もあった首都中心部でのデモに関してだけ追うと、10月15日にはイスラムの正装に身を包んだ約5千人による抗議デモ。続く11月4日にはその数が5万人に膨れ上がり、全体としては秩序が保たれたデモだったものの、夜には一部放火等暴徒化の報道も。それでもまだ収まらず、先日12月2日には20万人もの人々がモナス広場と周辺道路を埋め尽くす様子が報道されました。

 最初のデモの際には、華人でありクリスチャンであるアホック州知事への反感から、宗教を政治利用し国を分裂させようとしている勢力があるといった報道も見聞きしましたが、そういった動きをけん制する大統領発言や、イスラム団体との会談などが功を奏したと言えばよいのか、先日の20万人もの人々が集った”デモ”は、終始穏やかに集まった人々が共に祈りを捧げる”祈祷集会”へと名を変え、そこにはジョコウィドド大統領も駆けつけ、国の安全のために祈りをささげる人々へ感謝を述べる一幕があり、今回のデモは”超平和的”と形容されました。

 アホック氏が知事を務める(選挙運動中は休職)ジャカルタ特別州の住民だけではなく、自分たちの宗教を守るためにとスマトラ島から4日間かけてやってきたといった遠方からの参加者も多数みられ、宗教と選挙や政治との関係は無いとされる実情も伺いしれました。そのインタビューでは、「政治や、アホック氏が華人でありキリスト教徒であることが問題となっているわけではない。」「いずれの宗教も侮辱されるべきではない。」「すべての人々が互いに尊重しあわなくてはいけない。」といった発言が聞かれました。イスラム教徒のデモという側面だけで切り取ってしまうと、宗教対立がある国と捉えられてしまう危険を感じますが、彼らの主張は違うのです。イスラム教だからどうこうというのではなく、彼らが目指しているのは異なる者同士の共存です。どの宗教も尊重されるべき、それが彼らの主張です。


<多様な民族・宗教・人種からなる統一国家であることを喚起させる「我々は皆兄弟」と書かれたものが選挙活動の横断幕に混じって現在各地に見られます。>
 
 状況としては、アホック氏の逮捕を訴える11月4日のデモの後、アホック氏は任意で警察より事情徴収を受け、16日には宗教冒とくの容疑者と認定され、刑事事件として判決待ちの状況で、12月2日のデモでは「アホック氏を逮捕せよ」との主張が繰り返されました。アホック氏は現状選挙活動は継続中。近く公判が開かれる予定で、今後の動向が気になるところです。

 という記事を執筆していたところへ、ムスリムの大規模祈祷集会明けての週末、12月4日日曜日。毎週カー・フリーデーが開催されているスーディルマン通りでは、”KITA INDONESIA :我々は一つのインドネシア” というイベントが催され、バリ、パプア、カリマンタン、ブタウィーetc.、はたまたヒンズー、ブッダなどさまざまな民族文化・宗教固有のパフォーマンスが数々繰り広げられ、それを皆が共に楽しみ歌い踊る情景と、文化・宗教・民族が違えども我々は一つのインドネシアだというメッセージが早々に発せられました。こういった多くの国民の姿勢もどんどん世界に向けて発信されていくべきだなと思わされました。
 刻々と事態は様相を変えていきますし、私が得られる情報も断片的なものなので、偏った解釈として伝わっていかないかが、冒頭でまだうまく言葉で説明することに難しさを感じていると述べた所以ですが、今回の記事においてはここまで。また引き続き状況をお届けできればと思います。


2.各地で地滑り・洪水被害相次ぐ




 インドネシアでの自然災害として頻繁に聞かれるのは洪水(banjir)と並んで地滑り(tanah longsor) です。ゴミ投棄による排水不良や植生伐採による保水機能の低下・土砂の流出など人為的要素もからんでの災害拡大といった一面もありますが、特に雨季である現在、これら災害が毎日のように報じられています。

 道路冠水は実際にジャカルタ市内でも日常的に遭遇しますし、高級住宅地や商業地区として知られるクマン地区で8月以降続いている洪水や、主要都市である西ジャワ州バンドンで10月末から大規模に頻発している洪水については、近くの川沿いの施設・建造物が川幅を狭めていることが一因として、違法建造物が強制撤去されたり、合法な建造物であっても建設予定範囲を超えているとのことから取り壊しが行われたり、その他排水溝の整備といった対応が進められています。これら都市部では、地域開発のありかたを含め、地域・企業が一体となって対策を考えていかねばならない問題との認識も広まってきています。

 話に聞くだけだった地滑りについても、ついに先日現場を目撃してしまいました。といっても滑り落ちてきた瞬間に居合わせたわけではありませんが、ジャワ島西部のバンテンエリアを移動中のこと、地滑りで橋が押し流され道路が分断されてしまい、ここから先へは進めないと言われ立往生。車を降りて見てみると、すごい勢いで土砂が流れてきたのであろうその情景に絶句しました。ここに来るまでに事前に通行不可の情報を得ることができなかったのか?という情報伝達の悪さもある種驚きでしたが、表立っては報道すらされていない (単に我々外国人の耳に届いていないだけなのかはわかりませんが) これら被害がまだまだあちこちにあるのではなかろうかと思われます。

 整備が行き届いていると考えられている日本での博多駅前の大規模陥没も驚きでしたが、インドネシアでの災害遭遇率はかなり高いと思われますので、豪雨の際は外出を延期するなど、遭遇率を下げる判断は怠らない方がよさそうです。言うまでもなく、これら状況下では水や土砂で道路が塞がれ、都市部では交通渋滞もいつも以上に激しさを増します。


3.無料レジ袋が復活!?



 プラスチックごみ削減のために今年2月末に試験的導入されていたレジ袋有料化。当初試験期間の3ヶ月での調査でレジ袋の使用が30%ほど減ったとのデータが出ているそうですが、未だに政府から省令等の法的拘束力を持つ規定の整備がなされていないからという理由で、インドネシア小売業協会が有料化を廃止する決定をしたという。消費者からの有料化に対する不満の声を尊重したとのことなのですが、そういう問題ではないでしょ?と言いたくなります。”何のために”というところの周知が足りなかったのでしょうが、さらにはどうにも、罰則がないなら守らなくてよいといった風潮が強いようにも感じられます。

 日本ではどのようにマイバッグ持参やごみの分別収集などが広まっていたのだろうと考えると、日本人の根底には”もったいない”という感覚があるところがまず大きいのかなと思ったりもしますが、やはりそれでも周知には時間を要したのではなかったかと思います。インドネシアでも、特に大都市ジャカルタから排出されるゴミの増大も問題にあがっていて、ゴミの分別収集、リサイクルといった活動も増えては来ているようですが、まだまだ環境への配慮といった意識は高くはなく、ゴミのポイ捨てが排水溝や河川の水門のつまりを引き起こし、洪水被害を拡大させているといった現状もあります。写真のように河川の底のゴミをさらう作業や、道路脇の排水溝を清掃する作業が、特に雨水でそういったゴミが流入しやすい雨季には毎日のように見られます。


4.流行語大賞は間違いなく”ジェシカ”



 最後に、ゴシップ的話題ではありますが、インドネシア人と会話した際にもたびたび話題にあがり、今年ジャカルタの人々の関心が高かった事件を一つ。
 今年の年明け早々1月6日に、ジャカルタで誰もが知る高級モール、グランド・インドネシアのコーヒー店で、コーヒーを飲んだ女性客が急死したというニュースが報じられてから早くももう12月。その後ジャカルタ市民が激震した1月14日のサリナデパート前でのテロ事件報道によっても搔き消されることもなく、それが計画的殺人であるという見解からからさらに人々の関心を集め、その被告人”ジェシカ”の名前があちこちでささやかれ続けたこの事件。31回の公判を経てついに10月27日判決が言い渡されました。有罪。禁錮20年。

 事件をご存知ない方に簡単にご説明。カフェに到着したジェシカ被告が、事前に監視カメラに映りにくい位置を選んで予約したとされる席に座り、ミルナさんら友人が到着するより1時間も早く人数分の飲料を注文し、紙袋で手元を隠して致死量のシアン化ナトリウムをミルナさんのコーヒーに入れ、到着したミルナさんがそのコーヒーを飲んだ直後に異変を示したにもかかわらず慌てたそぶりもみせず、その後ミルナさんが死亡したというこの事件。ジェシカ被告がシアン化ナトリウムを投入したという明確な動作は監視カメラの映像からは判別できず、本人は犯行を否定。決定的な証拠・証言が乏しいことから次々と証人や弁護人が召喚され、傍聴席には事件の行く末が気になる人々が毎回詰めかけ、立ち見が出るほど世間の関心を集めた本件。
 その話題ぶりから、インドネシアにもし流行語大賞があったなら必ずランクインしたであろう”ジェシカ”という名前。計画的犯行であるとの判決後も弁護団は無罪を主張しており、また控訴する意向とのことから、約1年がかりで判決は下されたもののまだこの先も”ジェシカ”の名を耳にする機会はありそうです。


以上、ここ最近の身近な話題をお届けしました。
 

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