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現地レポート!ラマダーン(断食月)の風景  by  A.K.I

  • 6月21日(火)- 2016年

現地レポート!ラマダーン(断食月)の風景
by A.K.I



 今月6月6日よりイスラム教徒の約1か月間の断食(Puasa)期間が始まりました。イスラムではヒジュラ暦(平均354日/年)という暦が使われていて、第9月がラマダーン(Ramadhan)と呼ばれる断食月です。太陰暦であるヒジュラ暦は、太陽暦である西暦と比較すると1年が11日ほど短いため、我々が日常的に使用している西暦のカレンダーで見るとラマダーン月が毎年約2週間ほど前へずれていく形になります。
 ラマダーンが明けるヒジュラ暦 第10月1日~2日(今年は西暦の7/6~7の予定)は、ルバラン(Lebaran)”断食明け大祭”で、その前後に政令指定休日がくっついたりもし、帰省ラッシュや親戚縁者の訪問など言うなれば日本のお正月のような、国をあげての長期休暇期間に入ります。
 そんな、ムスリムにとって大事なこの時期の、普段とは少々異なる街の様子をレポートします。


1.夜中の2時からアザーンスタート!



 この期間、何しろ太陽の昇っていない時間が普段より賑やかです。一日の断食に入る日の出前、明け方3時くらいの食事”サフール”から朝が始まるため、夜中過ぎ2時頃にサフールの準備を促すアザーンがまず流れます。普段でも非ムスリムにとっては、1日5回モスクから大音量で聞こえてくるアザーン(礼拝への呼びかけ)にはなかなか慣れませんが、夜中にも更にとなるとやや眠りの妨げにもなってはしまうのも事実ではありますが、いた仕方なし。
 なお、一日の断食が終わり食事をとった後、モスクに行ってお祈りをするのが良いとされているため、夜19時~21時前後まで普段より長い時間これまた祈りの声が響き渡ったりします。そして、一日の断食明けを祝しているのか、ルバランを待ち焦がれているのか、民家の集まる集落から爆竹の音や打ち上げ花火がちらほら見られたりもして、なんとなく浮足立った空気感が感じられなくもありません。


2.日中は閑散とする街中。



 夜明け前の賑やかさの反面、いつでもどこでも屋台で飲み食いする人々の姿が日常風景であったこの街の日中の風景は一転。ラマダーンに入ってからの日中は屋台もひっそり、体力温存のためもあるのでしょうか、出歩く人も少なく、どこへいっても少々ガラーンとしています。
 非ムスリムも多いジャカルタではファーストフード店、モールやカフェなどのたいていの店舗は開店はしていますが、いつもは行列ができていた昼食時間は閑散としていて、なんとなく飲食するのが申し訳ないような気分になってしまったりもします。道路に面しているお店などは断食中の人々を配慮して、店内で飲食している姿が外から見えないようにカーテンが引かれていたりします。


3.ラマダーン特有の屋台が出現!



 昼間の静けさから徐々に街が活気づいてくるのが15時くらいから。ぼちぼちと道路わきの屋台に飲食物が並び始めます。この時期よく目にするのが茶色い液状のものが入ったカップやビニル袋。これは”コラック”といって、煮込んだバナナやシンコンなどが入ったココナッツミルクとヤシ砂糖の甘ーいスープ。約14時間に及ぶ断食後、まずはこのような優しいものでのどの渇きと胃を落ち着かせてから、食事を取るのだそう。胃に優しくエネルギー源となるデーツもこの時期よく出回ります。仕事帰りと思われる人々が次第に屋台に足を運び始めます。
 断食終了の時間”マグリブ(日没)”を待ち構えて、17時を過ぎた頃からレストランにも人がどんどん増えてきます。時間前にオーダーをして、その時がきたら一斉にお食事スタートです。ですので、この期間にもし夕食でレストランに行かれる場合、18時前後に集中して満席のケースが多いので、非ムスリムであればできるだけこの時間ははずして行った方がよいでしょう。


4.ラマダーン商戦も盛ん!



 この時期、一日の断食明けの食事やルバラン用の食材ということで米・肉・卵・香辛料・食用油等がキロ単位で購入され市場も賑わいます。食料品等の物価上昇がこの時期の問題としてよく取り上げられていて、政府による対策も講じられています。
 一方、ラマダン用の礼拝服や、新年に相当するルバランに気持ち新たに新調する衣類などの需要の増加に合わせて、衣料品店では一斉にラマダーン・セールが始まります。礼拝服などを含めた、肌の露出を避け全体を覆うムスリム・ファッションの展示会の開催もよく見かけます。少々エキゾチックな衣類をお手頃価格で入手するのに絶好のチャンス!かもしれません。
 その他目に留まるのが”パーセル”と呼ばれる、言うなれば日本のお歳暮のような詰め合わせギフトセットがあちこちの店頭に並びます。クッキーなどのお菓子やシロップが主なアイテム。某チョコレートブランドの店頭にも見られ、これが見られるのはインドネシアならでは。海外ブランドもその国に合わせた展開をしているんだなぁなど新発見があったりします。


5.心穏やかに過ごしべし。



 非ムスリムの我々にとっても、ラマダーンの慣習から変更を余儀なくされることがいろいろ出てきたりします。例えば、この時期にムスリムが多い地域への旅行を計画したのが失敗だった気もしますが、ランチにお勧めと聞いていたレストランが昼間は閉店だったり、鑑賞を予定していた闘羊大会が中止になったり(争い事は避けるということなのか、神聖なこの月には開催しないと前日になっての連絡)、鑑賞した民俗芸能のプログラムが簡略化されていたり(断食中の体力を考慮してのことかと思われます)、お酒の持ち込みがこの期間はダメと言われたり、等々。
 楽しみにしていた予定の変更は少々がっかりしますが、感情的になってはならないというこの時期のムスリムの精神修行を実践させられたような、この時期ならではの空気を実感できたという意味では良い経験とも言えますが。
 非ムスリムであっても、特にこの時期はムスリムに対して感情的にならないよう、ともかくは、普段通りにはいかないことが発生する可能性がいつも以上にある、ということを頭の片隅に置いておくだけでも、冷静な対応ができるかと思われます。


6.ルバランはお祭り騒ぎ



 1ヵ月の断食が終わるとなると、それはそれは嬉しいものでしょう。断食最終日、マグリブの時間が過ぎると街の中はもうお祭り気分。祈りの声はもちろん、花火が打ちあがり、太鼓を鳴らしながらの練り歩きが行われたり一層にぎやかさを増し、昨年の記憶では夜通し騒がしかったような。モール含め店舗は、いつもより早めに店じまいするところが多かったようにも記憶しています。
 ちなみに、日本ではお正月にはおせち料理とお餅というように、ルバランならではの食べ物としては、クトゥパット(ちまき)やオポールアヤム(鶏肉のスープ)、ルンダン(牛肉のココナッツ煮)、ナスタール(パイナップルジャム入りクッキー)などがあげられます。クトゥパットは、ココナッツの葉で編んだ籠のようなものにお米を入れて蒸したものですが(冒頭写真)、この籠はルバランの象徴とも言われ形を模した飾りがあちこちで見られます。


7.帰省ラッシュと閑散とするジャカルタ

 

 ルバランは日本のお正月のように、家族や親戚と過ごすために多くの人々が帰省します。ジャカルタは日本の東京と同じように、インドネシア各地から人々が働きに来ている大都市なので、ルバランの前後は帰省ラッシュがすごいです。通常のひどい渋滞とも比べ物にならないほどの交通量となり、たくさんの荷物を積んだ車やバイクが何時間もかけて夜通し通りを埋め尽くします。
 そして、街中から人々が流出していつもは大渋滞のジャカルタが閑散とします。この時期にゆっくりと街中を見て回るのも、移動がスムーズでお勧めです。ただしタクシーの台数も減るという意味ではタクシー待ち時間は考慮する必要がありそうです。


まとめ
 以上、ラマダーンからルバランにかけてのジャカルタの街の様子をお伝えしました。実際に、ラマダーンに入ったとたんに、街の空気ががらりと変わりました。郷に入れば郷に従えで、この国の人々の風習を尊重して過ごしたいものです。
 なお、ルバランの帰省後、ジャカルタに戻ってこず姿を消してしまう運転手やお手伝いさんも多いと聞きますので、この先も続けてほしい場合には、いつ戻ってくるのかということを帰省前に確認しておくなど、日本の常識が通用しないことが多々ありますが、しつこいくらいにぬかりなく対応しておく必要があるのも、これまた嘆いても仕方なく、郷に入れば、です。

 

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